登山道を上りつめたら、そこには広い湿原が待っていた。随分広い湿原である。
木道があり、一瞬、尾瀬に来たような錯覚に陥った。
周囲の山と針葉樹に囲まれた湿原は小雨のなかで、時間を超越してあまりにも静寂である。こんな湿原がこんな高い場所にあるなんて不思議である。
小雨の寒さに震えながら昼食を摂った。
熱いコーヒーを飲む用意をして来なかったのが悔やまれた。
鬼怒沼を降りて、同じ宿にもう1泊する。
私のような登山者より、周りの植物を観察している研究者、山の管理者等の近くをよく知っている人たちが多く、夕食時に話を聞いた。
