クリントイーストウッド監督のドキュメンタリー映画「インビクタス・負けざる者たち」を見た。
反アパルトヘイト運動をしていた、南アフリカの黒人ネルソン・マンデラが出獄して大統領になった直後に、ラグビーのワールドカップが南アで開催される。
当時、弱いとされた自国の白人を主体としたチームを勇気づけて、1年後のワールドカップで奇跡的に優勝させた。マンデラはこの優勝を通して、アパルトヘイトの黒人差別社会であったのを、黒人と白人が一つの新しく共存していく国を作る礎を作ったという実話らしい。
ストーリーは上記の如く簡単であるが、イーストウッドの監督の映画の中では一番スクリーン迫力があり、その最終章での感動を伝える。
つまり、ラグビーのゲーム中を下方から撮影した選手の動きは迫力ある。スローモーションな場面も意外であるが、選手達の荒い息吹を感じさせる。
そして、優勝した後、競技場の白人を中心とした観衆の嵐の如き興奮を見せるスクリーンと、黒人達の住む人通りが無いスラム街での、実は屋内でテレビに見入ってゲームに勝って狂気する黒人達の風景、通りでラジオを聴きながら警備していた白人警官が近くにいた一人の黒人の子供を抱き上げて喜ぶ風景、白人と黒人の大統領ガードマンが握手する光景等々、今までの行動と変わった一瞬、一瞬を丁寧に映し出していた。
マンデラ役はモーガン・フリーマンが相変わらず、この静かな大統領役を無難に演じている。安心してみることができる俳優だ。
イーストウッドが、ジョン・カーリン原作のノンフィクション小説『グラン・トリノ』を映画化したらしいが、彼は監督としてもう30本と多数の映画を製作しているらしい。 今年は既に80歳の高齢である。
私は50年くらい前のテレビ西部劇映画「ローハイド」に出ていた頃からのイーストウッドのファンである。
途中のマカロニウエスタン映画は見なかった。 「ダーティハリー」シリーズは後のテレビ再放映画で見た。
その後、ズーと後年、「マディソン郡の橋」で歳取った監督・主役のイーストウッドを見て、「こんなに歳取ったのか」と私自身の歳を忘れて、ビックリした記憶があるが、反面、「こんなロマンチックな静かな男も演じられるのだ」と見直した。
その後の最近は、「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」「チェンジリング」等の歴史的実話を主題とした、結構重い感じの映画を監督製作している。
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